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空港行き

2018年10月26日

 空港まで汽車でどの経路で行くかを、なかなか決めきれない県がある。平気で情勢が変わったとか言い出した。競技場経由で決まったかと思ったのだが。日本の土木事業は、B/C以外の指標はないのだろうか。「100年の計」がほしい。そういえば、市の電車延伸もいつまでたっても実現しない。がっかりする毎日である。市民の志の低さに連動して政治家の志は、極めて低い。

 

 写真はリヨン市のPart-Dieu駅から郊外の空港までのTram-Train(簡単に言えば、汽車仕様の電車)の電停の表示である。看板に書かれた数字を読むと、7/7は毎日、始発は4時25分、15分間隔で運行し、所有時間は30分、U12は無料。内容に無駄がない。ガラス越しにわかるように、電停のベンチの後ろの壁である。

 

 従って、これは乗客用ではなく、他の電車や電停へ向かう人への表示である。あえて、電車の写真は載せないが、車体はきっとこの色だろうと思っていい(車体に合わせた配色だろうと考える方が自然かな)。この電停は、線形が面白い。3面4線。中央に島式の空港線用の電停があり、両脇が対面式で市電用。合計4つの停留所がある。確かに遠くから形だけ見ると、乗り場の区別がつきにくい。デザインの力がモノを言う。

 

 市電線と一部軌道を共有しているので、市内のTramとは一目で区別できる必要がある。また、駅間が長いので、乗り間違えると引き返すのが大変。運営は独立らしく、整備工場も近くだが、別個にある。一応、こういうことを確認するのが楽しい。

 

 リヨン郊外で、この線と分岐するスタジアム行きの盲腸線がある。サッカーの試合のときには、白い車体と赤い電車が列をなして観客を運ぶ。面白い光景であるであり、柔らかな発想の運用には感心する。

 

 空港の電停に関しても一言。この電停は、カラトラバの有名な「まつ毛」から発想したというTGV(新幹線)駅の横にある。この駅舎は一見に値する。完成直後は、「鳥が羽ばたく直前の姿」といわれていたように記憶している。駅舎と電停(終端)の完成の時代は大きく異なるのだが、あたかも一体として作られたかのように感じられる。空港に新幹線が接続していること。新幹線駅に電車が接続していること。構想力の勝利だ。

 

 さらに余談を一つ。空港名は、Saint-Exupéry空港だ。リヨン出身の有名人は少なくないが、一番は「星の王子様」の著者ということだろう。ただし昔は、この地域の地名をとってサトラス空港と呼ばれていて、空港コードはYLSであった。改名にあたり、Sで始まる名前であることが大きな要因になったに違いない。改名に際して、深い検討と配慮を感じる。これもまた構想力の一端であろうか。