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デジタル版立体地図

2020年9月1日

 CIMの関連で、3次元管内図という話があった時、我々(九地整のCIM導入検討会の河川分科会のメンバー)は、立体地図のデジタル版を想定していた。重要なのは、これが全員のPCで見られるということだ。そうであれば、広域の地形の変化がわかるだけでなく地形地質分類図、環境図や防災マップといった2次元図面を貼り付けるだけで、より深く図面の読み解きができる。

 

 最初これを3次元管内図と呼んでいた。まさにそれだけで十分役に立つはずであった。しかしその後、本省の方針では、GISソフトを介してCIM情報も含めたデジタルデータを保存し、活用することになったらしい。これはCIMの問題というより、クラウドでのデータ管理の問題だ。

 

 もちろんCIMをより上手に活用するには、さまざまなデジタルデータとの連携が必要だ。点群データとの連携は好例である。360°カメラとの連携も有効だ。DXがさらに進化していけば、CIMの定義自体も変化していくだろうし、それでいいとも思っている。

 

 しかし、ここで声を大にして言いたかったのは、「デジタル版立体地図」には、それほど多くの情報を載せずに、どのPCにも必ず入っていて、今と同じくらいカジュアルに参照できるものであってほしい、ということである。

 

 これにPDFのような、多少の書き込み機能(ピンをさしたり、簡単な伝言を貼り付けたりする機能)があれば最高だ。これを用いて、異動に伴う引継ぎもできるだろう。年度末のバタバタのなか、二人がいちいち現場に出向いで、問題の個所や前任者が気にしていた部分を指し示し、理由を説明する必要はない。「より広い範囲で、より的確な」引継ぎ(両者間での問題把握)ができれば良いだろう。

 

 さて、先日『ブラタモリ』で、桜島編があり、地形や産物の話題が楽しかった。降灰は明治期にはなく、1955年以降の話だというのには、驚いた。おそらく大半の人が、「大昔から、降灰が続いている」と思っていたはずだ。人間の間違った思い込みというのは、時として常識化してしまうこともあるのかと反省しきりであった。

 

さらにもう一つ反省したのは、地形の変化である。南側に流れ出た溶岩は時代が違う。昭和溶岩と安永溶岩だ。島の北西の広い平地があるというのも初めて知った。しかし昔もらった「立体地図」をきちんと見て、記憶しておけば、すべて解っていた話しであった。番組後この地図を、さまざまな方向から眺め、これも反省した。

 

「立体地図」は身近において、時々、眺めるべきものである。デジタル化されても、そのようなデータが必要だと思っているし、それは決してGISの上に乗っている「3次次元管内図」では実現されない。